子どもの独立、親の介護の終了などライフステージの変遷により、高齢期の夫婦の住まいとして郊外の一戸建てから利便性の良い中古マンションへの住み替えが選択肢として増えています。ただし、高齢期の住み替えは、若年層の住み替えと比較して検討すべき点が多く、また、注意すべき点も実に多いのが特徴です。
◾️将来の暮らしを具体的に描く
高齢期のマンションへの住み替えの場合、『具体的にいつまでに住み替えるのか』、『費用はいくらまで充てることができるか』、『資金はいくら余裕を残せば良いのか』、『いつまで棲む予定なのか』、『住み終わった後はどうするのか』など、入口(購入時)だけでなく出口(相続・売却)戦略まで考える必要があります。
◾️費用は、自宅売却・住宅ローンで賄う
次に、購入費用に充てる資金をどう捻出するかを具体的に挙げていきます。
⚫︎自己資金 預貯金など現金は将来の生活のため使い果たすことは避け、最低でも2年分の生活費は手元に置いておく方が良いでしょう。
⚫︎自宅売却 まずは、自宅売却で得られる資金を元に資金計画を立てます。一括査定サイトや大手や中堅、地元など複数の不動産仲介業者に査定を依頼しましょう。その際に、査定額の根拠と売却までの予想期間を必ず尋ねることが大切です。なぜなら、売却依頼を受けたいがために査定額を根拠無く高めに出す会社があるからです。そのため、目安にするのは、最低額を念頭に置きつつも最も納得できる説明ができた不動産会社に売却を依頼するのが安全です。
なお、査定額が希望するマンション価格よりも低かったにもかかわらず、全額自宅売却資金で賄おうとすると、売却まで長期間を要し、場合によっては最悪売却できずに住み替えを断念することにもなりかねますので注意が必要です。
⚫︎住宅ローン
購入したいマンションの平均価格に自宅の売却査定価格が届かない場合は、短期の住宅ローンを利用するのも手です。
◾️慎重な資金計画が必要
資金計画は、できればファイナンシャルプランナーに相談して慎重に立てましょう。物件探しも大切ですが、住み替えの目的を明確にし、新たな住まいでの生活を具体的にイメージすることにも時間を割きましょう。
まとめ
自宅の売却と住み替えの進め方
◾️将来の暮らしを具体的に描く
入口戦略だけでなく、出口戦略まで考える。
◾️複数の不動産会社に自宅売却の査定を依頼する
査定額の根拠や売却までの期間を尋ねる
最低額を念頭におく
自宅売却資金だけで購入資金を賄う場合は注意する
◾️仲介してもらう不動産会社に売却を依頼し販売活動を開始する
◾️売却の目処が付いたら物件探しを本格的にする
◾️売買契約締結
引き渡し時期は、購入物件への引越しを踏まえ調整する
◾️引き渡し
(参考:『宅建しずおか 2023.7月号』)